本庄の大クス

福岡県築上郡築上町のＪＲ築城駅近くから10kmほど山間部に入った本庄の大楠神社境内に聳えている「本庄のクス」は、樹齢1900年、樹高25m、根元幹周30m、目通り幹周21.0mと記されて、佐賀県の「川古の大クス」と並んで全国第３位の大クスとされている大物だ。高く枝を張り広げ、豊かに葉を茂らせた姿は一見したところ元気そうに見えるが、背後に回ると根元の中心部はえぐれた空洞になっており、焼け焦げた跡が残っている。明治34年に火災で主幹部半身を焼き尽くす事故に見舞われたが、奇跡的に一部の大枝が蘇り、今も元気に大枝いっぱいに葉を繁らせている。何本もの支柱や、崩壊した跡が目立ち、一見した時のバランスの崩れた格好は痛々しい姿だ。しかし、在りし日の姿を思い浮かべながら、全体の姿をよく観察してみると、さすがに印象深く唯者でない姿をしている。大楠神社の古文書によれば、このクスは景行天皇が九州平定の戦勝を祈願したときに植えられたものだといわれている。現在数本の支柱と地域の人々の愛護にさえられ、築上町のシンボルとして親しまれ大切にされている。