( 画像更新　2006.7.22 )

伊勢自動車道・勢和多気ＩＣを下りて、国道42号線を松阪方向に2Kmほど走ると、左手に並行して走っているＪＲ紀勢線の線路沿いに それらしき大きなクスの樹冠が見えます。この地は古来より、大和、伊勢、紀州を結ぶ交通の要所とされていた所で、南北朝騒乱期には 王朝の復興を図る北畠家を中心とした南朝派の隠匿地であったとされています。 そのような状況を見てきた地元の村人達が、忠臣の遺蹟を後世に残そうとしてクスを植えて樹の元に祠を置いて神木として保存 してきたのだと伝えられています。この伝承からすると樹齢が600年余とみることのできるこの大楠は、ＪＲ紀勢線の線路と町道の隙間 のような土地に目通り幹周7.5mの太い幹を遠慮するかのように、身を縮めるようにして立っています。 樹高は36mと高く、それを支える枝張りも太くて力強さがあり、東西40m、南北37mと雄大な広がりを見せています。 樹の正面側の根元は道路のかさ上げにより埋め立てられて、舗装で固められてしまったという気の毒な環境にありますが、 根元の側面には小川が流れているので水の心配は全くない。