山祇桂

巨木の里久出内を代表する「白山杉」を訪ねたあと、同じ道筋をそのまま50mほど奥に進むと、久出内集落を見渡すような位置に「山祇桂」が聳えている。道沿いのカツラの前面には山神社と称する古びた複数の祠と鳥居があって、このカツラが神木として祀られているようだ。樹齢500年、樹高25m、株周り20mと記されて県内のカツラでは２番目にランクされるほどの大物だという。だが、見た限り主幹と思しきものは存在せず、十数本ほどの幹周2～3m程度の幹がザンバラに立っている状態である。多くの巨大カツラにそのような例は多いが、一本の樹と捉えて良いのだろうかと思ってしまうような姿でもある。二頭の小さな馬のわら人形を作って神社や田の水口に置き、五穀豊穣を祈る風習「馬っこつなぎ」が毎年6月15日に 16戸だけの久出内集落では今も行われており、豊富な水場であるこのカツラの周辺には多くのワラ馬が置かれるという。久出内集落は今もなお昔ながらの自然を尊ぶ伝統行事を守り続けている数少ない地域の一つである。