( 再訪問・撮影日　2005/01/14 )

東名高速道路・音羽蒲郡ＩＣを下りた直後にある国道１号線を横切って直進し、県道73号線・三河湾オレンジロードに入る。 オレンジロードを道なりに6Kmほど走った地点にある上大内東交差点で、右隣を走る国道473号線に移ると、 ほどなく「清田の大クス」を示す案内表示を目にする。 国道を離れ、みかん農園の中を大クスまで、周辺の道は細いが、近くに大クス訪問者用の駐車場があるので有り難い。 三河湾の中央部という地勢に恵まれた、温暖な気候の蒲郡市清田町は「蒲郡みかん」の栽培が盛んに行われており、みかんは市の代表的産業のひとつだという。 大クスの周辺は当然のようにみかん畑やハウスになっているが、山麓であるこの地域は明治の初期ごろまではクスの大木が数多く生い茂っていたといわれています。 それを裏付けるように、清田町には山号が「楠林山(なんりんざん)・安楽寺」という徳川家康の生母「於大の方」と所縁があったという寺があります。

楠が生い茂り緑豊かであった山麓一帯も、昭和の時代になってからは、宅地開発をはじめ、 みかん産業を拡大するために大規模な農地の開墾が行われ、 楠をはじめとする全ての樹木が切り払われてしまい、このクスノキ一本だけが残されたのだといわれています。 大クスは、今はみかん農地という生まれ育った時とは随分違う環境下におかれてはいますが、 ほとんど損傷部も無く、樹勢はすこぶる旺盛な様子で葉も良く茂り、太っ腹を突き出したような特徴のある姿勢で堂々と立っています。 見る方角によっては、色んな表情を見せてくれる、人を圧倒するような巨漢ですが、 メタポ型の体躯から発する雰囲気は柔らかみがあり、親しみのもてる樹です。 樹齢1000年、樹高22m、目通り幹周り14.3mと記された国指定天然記念物、愛知県下第一位の巨木だといわれています。