府馬の大クス

東関東自動車道・佐原香取ＩＣから県道55号、28号線を使って府馬の地に入る。利根川がつくった広々とした平野に突き出すような形の丘陵地になっている。この一帯は千葉一族の府馬氏が城を構えていたとされる所で、その丘の一画に大クス展望公園が整備され、そのすぐ隣に小さな宇賀神社がある。その小さな神社境内に存在感たっぷり、個性溢れる巨樹がどん座っている。この巨樹は樹齢1300～1500年、樹高20m、幹周8.5mと記された国内最大級のタブとして名高い樹である。むくむくと地面から隆起した根、でこぼことした荒々しい幹、なんとも凄い樹容をした古木である。根元には正徳元年(1711年)の銘が刻まれた石祠が呑み込まれており、並でない歳月を生きてきた樹が持つ凄味の一端を見て取ることができる。　大クスの北側に主幹を斜めに傾けて立つ「子グス」と呼ばれている木があるが、これはその昔、大クスから張り出した大枝が垂れ下がって地面に接し、そこから根付いて成長した木だという。連結していた大枝は明治時代に枯れ落ちて今は無いが、その根拠として、現存している江戸時代の絵図に、連結した状態の子グスが鮮明に描かれているそうです。