賀恵渕のシイ

東京湾アクアラインから延長する圏央道の一部が建設されて、房総半島中央部へのアクセスが随分と便利になりつつある。圏央道・木更津東ＩＣを出たところで右折、国道410号線を4Kmほど南下して、小櫃駅近くの俵田交差点で右折して県道23号線へ移ると、ほどなく小櫃川を渡る橋がある。橋の袂で右折、車を下りて辺りを見回すと、堤防沿いの畑地の中にシイの樹冠が見える。「賀恵渕のシイ」は、小さな八坂神社の境内を一樹で覆い尽くすほどに大きな樹冠を広げた樹である。境内に入ると、立っているというよりも横になっているような、しかも複雑で奇怪な姿には驚いてしまう。地面を這うように15mほども伸ばした太い枝幹の不思議さ、折れた枝の古い節目にできた目ん玉のようなウロが各所から睨んでいるようでもあり、まことインパクトの強い樹である。樹齢600年、樹高21m、幹周8.5mと記されてはいるが、幹周り寸法を正確に図れるような樹形をしていないので一概には言えないが、樹全体のボリューム感から、全国でも有数のスダジイであることは間違いないだろう。この樹は君津市指定天然記念物、新日本名木百選にも選ばれている。