田村市船引町から国道349号線を8Kmほど北上して二本松市に入った直後、左手に大杉の案内表示がある。 二本松市が誇る「杉沢の大杉」は、最初に遠望した時の姿が誰もが思い浮かべる杉の標本とも言えそうな素晴らしい樹容をしているが、 太い主幹は5〜6ｍほどの高さから複数本に分岐して伸びあがっており、骨格は単幹ではない。 樹齢600年以上、樹高45m、目通り幹周12.3mと記された大杉で、一切の枝打ちを受けず、地に付きそうなほどに下方の枝までいっぱいに伸ばしている。 太平洋側にあるスギだが、枝垂れた枝葉の形態からウラスギ系統のスギのようにも見える。 杉のために確保されたと思われる広々とした敷地、木製の高床式歩廊、立派な休憩所までもが完備された環境作りも素晴らしく、しばし見とれてしまう。 この杉にまつわる話として、二本松藩主丹羽光重公が領内巡視の折、大杉の樹下で休息をとり、大杉の見事さに感じ入り、 村名を、当時の菅野沢村から杉沢村と改めさせたうえで「杉沢の杉」と命名したと伝承されている。

(画像更新 2015/ 4/15)