ケンとメリーの木

北海道のほぼ中央、十勝岳連峰の麓にある美瑛町は、幾重にも丘が連なる独特の地形をもった「丘の町」として人気の高い観光地である。町の中心街の北西に広がる高台、この北西の丘一帯に固有名詞を持った樹が数本あるが、その中にあって、最も有名なのが、国道からそれほど遠くない地点に立つ「ケンとメリーの木」と名づけられたポプラの大樹であろう。この木は、今から88年ほど前、農場の境界を示す標木として丘に植えられたポプラの木で、周りには他に目立つ木がない中、一樹で高く聳える姿がパッチワークと言われる美瑛の丘とマッチして、美しい景観をつくりだしている。ケンとメリーの名の由来は、1972年に日産自動車が、人気車種のスカイラインに、「ケンとメリーのスカイライン」というキャッチフレーズを使い、シリーズ化したテレビＣＭを長期間にわたって流し、その15作目にこの木の風景が使われて話題になった。それ以来この木は有名になり、今も観光スポットとして賑わっているのだ。