黄金水松

芦別市黄金町の小高い丘の上に、その名も黄金水松公園と名付けられた公園があり、そこにはこの公園の主である「黄金水松」と名付けられたイチイの大樹が現存している。樹齢1700年、樹高21m、幹周6.2mと記された樹で、イチイの巨木が多い道内にあっても有数の巨木である。このイチイは古来アイヌの人々が芦別を往来する際の標木とし、霊樹として崇敬されていたと伝えられている。そして、この樹に住み着いていた悪蛇を上川アイヌの首長が退治し、蛇塚を建てて葬ったという伝説が語りつがれているそうだ。かつてこの一帯は上班渓御料林(かみぱんけいごりょうりん)と呼ばれる宮内省の帝室林野局が管理していた土地であったが、戦後には御料林が開拓される対象となったため、地元住民はこの樹が開拓と共に伐採されるのではと危惧し、黄金水松保存会を結成して当時の芦別町役場に保存を訴え、地元青年団が草刈りや清掃作業を行って守ってきたという。最近でも、毎年６月に黄金水松公園祭りが行われ、地域のシンボルとして親しまれているという。芦別の開拓史に名を残し、そして今も人々と共に生きている大樹である。