黄金山のイチイ

海岸線を北に走るオロロンラインとは浜益区柏木で別れ、そこから東へ、滝川市に向かう国道451号に移る。柏木から10Kmほどにある実田橋を渡った直ぐ左手に「黄金山登山口」と書かれた看板を見つける。黄金山は標高740mのそれほど高い山ではないが、「浜益富士」とも呼ばれるような山容をした山で、日帰り登山コースとして人気のある山だという。その登山口に向かう砂利道を3Kmほど進むと「イチイ」の看板と駐車スペースがある。車を置いて、笹をかき分けるようにして細い歩道に入り、５～６分歩くと前方にイチイの姿が見えてくる。遊歩道を含め樹の周囲一面に下草が高く伸びて根元が見えない状態で足場も悪く、写真撮影もこのアングルだけというほどに苦労した。樹齢1500年、樹高18m、幹周5.5mと記された道内有数のイチイの巨木であるが、特別な保護指定は受けてはいない。主幹には縦に空洞が開き、上方部に腐朽も見られるが、無数の瘤が盛り上がった重厚な主幹は迫力があり、 1500年を生き抜いてきた樹の活力と逞しさを感じる。おそらくは、アイヌの信仰・文化と結びついていた樹ではないだろうか。