( 訪問・撮影日　2009/8/06 )

舞鶴若狭道・丹南篠山口ＩＣを下りて高速の西側を並走する国道176号線に移る。 そこから北に向かって 8kmほど走ると丹波市と篠山市の境界線上に「鐘ケ坂トンネル」といって、 明治、昭和、平成に亘り三本も掘られた事で名の知られたトンネルがある。 そのトンネルの手前1kmほどの地点に「大山宮上」バス停があり、そこから左側の集落へ向かう道があるので左折して その道に入ればすぐ正面に追手神社の鳥居がある。 追手神社は大山祇命を祭神としているこの地の氏神様で、創建は不詳だが、 大山宮の地名はこの神社からでていると言われているので、古い歴史のある神社のようだ。 境内に入ると、まず左手に夫婦イチョウと呼ばれている二本の大きなイチョウがあり、 その少し先にこの「千年モミ」が聳え立っている。 この神社には拝殿や大きな社殿は無く、正面奥の一段高くなった所に、 精巧な彫刻で飾られた一間社・流造りの立派な本殿が建っているだけなので、境内は広々としている。

境内のほぼ中央に聳える「千年モミ」は樹齢不詳、樹高 34m、目通り幹周 7.8mと記された国指定天然記念物で、 堂々と威容を誇るようにして聳え立っている。 真っ直ぐに伸び上がった幹の頂部は欠損しているようだが、見事な樹容にはそれほどの崩れはなく健康状態は良さそうに見える。 巨大な根張りから立ち上げた端正な樹容は素晴らしく、ねじれ模様をした樹皮は灰褐色で神々しさがあり、 日本随一のモミと呼ばれるに相応しい風格を持ち合わせている。 このモミが何故に「千年モミ」と呼ばれるようになったのかは分からないが、 マツ科の常緑針葉高木であるモミという木は成長が早く、ある程度の大木にはなるが、 成長が速いためその分材質は弱く耐久力が乏しいため寿命は短く、普通は200〜300年ほどだとされている。 日本では幹周６ｍを超えるような特別な巨木は25本を数えるだけしか存在せず、 そのような特別な樹でも樹齢は400〜600年とされていることが多い。 そのようなことから、いくら特別な力を持ったモミだといえども、樹齢1000年はないのではないかと思う。 千年モミ とは樹齢を言うのではなく、千年と言わせるような風格がそう呼ばせたのではないだろうか。