(訪問・撮影日 2012年4月24日)

都萬神社から国道219号線を2kmほど北上したところで左手に鳥居が見える。鳥居をくぐるとそこに有名な鰻屋さんがあり、 その奥にひっそりとした南方神社がある。その境内に聳え立つ「上穂北のクス」は、 樹齢1000年、樹高42m、根廻り22m、幹周11.5mと記されて国の天然記念物に指定されている。 この樹の特徴である力強く張り広げた根元が印象的で、そこから少し前傾気味に立ち上げた主幹が地上3mほどの高さで二本に分岐、 その上部で更に数本の太い枝を立ち上げ、形よく枝葉を茂らせている。そんな樹容の見事さに感服する。 先ほど観てきた「妻のクス」が満身創痍であったのとは対照的で、ほとんど損傷が見られず、 樹姿壮観、樹勢旺盛、そして堂々とした逞しき姿は実に素晴らしい。 この地の南西1kmほどの所には日本最大級の「西都原古墳群」が広がり、北東方面は一ツ瀬川右岸流域にある平地の集落である。 そんな集落の中にただ一樹で立ち、ほとんど伝承の語られていないこの樹は、どのような歴史を見ながら生きてきた樹なのであろうか。