(訪問・撮影日 2002年4月19日)

寂心さんのクスから北に1kmほど行くと鹿児島本線植木駅があり、その近くのガードを潜って更に北へ1kmほど行くと桜井小学校がある。 学校を越したあたりで北の方向を遠望すると、滴水(たるみず)地区の小高い丘に頭を突き出したイチョウが見える。 滴水公民館近くに聳える「滴水のイチョウ」は熊本県指定天然記念物で、樹齢500年、樹高42m、幹周14mと記された大イチョウである。 根元は合着して１本に見えるこの大イチョウ、実は５本の株が密植されて成長したものらしく、 真っ直ぐに聳えてはいるものの、それぞれの株が密に絡みあって複雑な枝振りをしている。 この場所は寺跡で、このイチョウは平家落人の墓標として植えられたものだと伝えられている。この樹には次のような伝説がある。 昔々、人々がこのイチョウを切り倒す話をしていたら、木の中から美しい女性が現れて、切らないで下さいと哀願されたので切るのを止めた。 この美しい女性は、このイチョウに棲むという白蛇の化身だったのであろうとされている。