( 訪問・撮影日　2010.05.08 )

国道432号線、高野町新市から比和町森脇まで8kmほど引き返し、県道255号線に入る。 道なりに東進していくと、やがて車はおろか人影さえもない寂しい山道になり、ひと山越えて下っていくと西城町熊野に到着する。 熊野の集落に入った所で「熊野の大トチ」の看板を見つけて熊野川に架かる小さな橋を渡って右に700mほど上ると駐車場がある。 駐車場から見下ろすと大トチが傍らを流れる渓流の岸辺に心地良さそうに立っているのが見える。
樹は根元基部から大小２本の幹が立っていて、太い方の根元の立ち上がり部に 人が潜り込むに適度な洞の口が開いており、これがこの樹のがシンボルだ。 中を覗くと洞の中は巨大な空間になっていて、確かに大人３０人が入れるといわれるほどの広さがある。 その昔、渓流が荒れ狂った時に根元の土石が洗い流されて出来た空間だろう。 仮にそんな経緯があったとしても、また枝の折損をするような事故があったとしても、 この場所は、人が心地よく感じるのと同様に、この樹にとっても居心地の良い環境なのであろう。 大トチの健康状態は良く樹勢は盛んなようである。 樹齢不詳、樹高30m、根回り12.2m、２本の幹を合わせた幹周は11.14m、太い方の幹周7.1mと記された全国有数の大トチノキである。