県道３７号線、度会橋東詰のたもとにある宮川堤公園の桜並木の中に巨大なクスが潜んでいる。 樹齢は不詳だが、樹高１０ｍ、目通り最大直径８．０ｍと記されている往年の巨樹である。 地上から三枝に分岐して壁のようになっている巨大な姿は確認できるが、樹全体としては根元まで完全に枯損しており、今はまさにその残骸が土に戻ろうとしている。 往年の巨大であっただろう姿を想像すると見るに忍びない気持ちにさせられる。 左側面に張り付くようにして伸び上がった若木が成長しているので、根の一部から出た二代目が成長しているものと思っていたが、 初めて見たとき茂っていた葉が、今回の訪問時には落葉していた。よく見ると、木肌から見てもこれは楠ではなくケヤキかムクのように思われる。

樹の正面には手入れの行き届いた祠が置かれていて地元では「くすのきさん」と呼ばれて大切に祀られている。 「境楠」の名前の由来は、もと御薗村の一部であった中川原と旧山田との境界にあったからだと伝えられている。 一見した姿が逆さに生えているように見えるので「逆楠」との別名もあるという。