我流つれづれ草

2009/07/31

蒲生の楠

蒲生の大クス

我流つれづれ草・・・年を重ねると

若い時は血の気が多いので、情熱に燃え、いろんなことに興味を示して活力に満ちている。
　だがその分だけ、身を破滅させる危険性が高く、それは壊れやすくてどこに転ぶかわからない、球を床に転がしているようなものだ。 　若気の至りで財貨を使い果たして突然に職を失って落ちぶれたり、勇んで人と争う。　出合いがしらの色情におぼれたり、 恰好をつけて思い切りのよい行動をしてみたりもする。　命がけという言葉に憧れて身の危険も顧みない行動をして、世間の語り草になったりする。
　身を誤ることの多いこの年齢期は、誰もが歩む通過点であるから下手に活気を抑制しない方法で、年輩者の経験や知恵を与えてやりたい。
　年を重ねると、体と共に心も衰え、気持ちは淡白で大まかになり、感情が高ぶることは少なくなる。
　年寄りは年寄りらしく穏やかに、ジタバタするような無駄な言動を控え、心身の負担を抑えれば、病気を引き起こすことも少なくなり、 結果として周囲に迷惑を掛けずに済むことになる。
　年寄りの体験から得た知恵が若者に勝るのは、若者の見てくれが老人に勝るのと同じようなものである。

徒然草　原文　第172段

若き時は、血気内に余り、心物に動きて、情欲多し。身を危めて、砕け易き事、珠を走らしむるに似たり。 美麗を好みて宝を費し、これを捨てて苔の袂に窶れ、勇める心盛りにして、物と争ひ、心に恥ぢ羨み、 好む所日々に定まらず、色に耽り、情にめで、行ひを潔くして、百年の身を誤り、命を失へる例願はしくして、身の全く、 久しからん事をば思はず、好ける方に心ひきて、永き世語りともなる。身を誤つ事は、 若き時のしわざなり。 老いぬる人は、精神衰へ、淡く疎かにして、感じ動く所なし。心自ら静かなれば、 無益のわざを為さず、身を助けて愁なく、人の煩ひなからん事を思ふ。老いて、智の、若きにまされる事、 若くして、かたちの、老いたるにまされるが如し。

[この段によせて]

兼好さんの活力のある若者・風格のある老人像に比べると、現代は、血の気が失せたような「草食系男子」と言われるような若者が現れ、 そんな若者を育てた未成熟な老人が、顔のシワはともかく、脳のシワまで減らして、医療・年金制度の恩恵のもと、 果敢にも遊び呆けたその先で、病院通いに精を出しているという国家になってしまった。・・・我々が目指した福祉国家とはこんなものだったのか ?　 暮らしやすい国づくりを目指して頑張ってきたつもりだが、結果は核家族化と少子高齢化、老々介護に痴ほう症、 最後は外国人かロボットに介護を頼ることになりそうだ。

縄文杉

屋久島の縄文杉